コンクリート打ちっぱなしの家とは、コンクリートの壁にタイルを張る、塗装をするといった仕上げをせずに、完成させた家です。近年流行しているインダストリアルな雰囲気を演出できる、コンクリートの質感そのままのクールな佇まいが魅力的です。
日本のでは木造建築の住宅が一般的なこともあり、コンクリート打ちっぱなしの家の実際の住み心地やメンテナンスについてあまり知られていません。家は、家族が長い時間過ごす場所なので、そのメリット、デメリットについてもきちんと理解しておくことが大切です。
デザイン住宅で人気のコンクリート打ちっぱなしの家のメリット、デメリットだけでなく、建てる際の注意点や必要なメンテナンスについてもご紹介します。ぜひ、家づくりの参考にしてみてください。
見た目だけじゃない!コンクリート打ちっぱなしの家のメリットとは?
コンクリート打ちっぱなしの家はデザイン性が注目されがちですが、性能面でのメリットもあります。見た目以外のメリットについてご紹介します。
空間を広く使える
コンクリートの家は壁そのものの強度が高く、壁で家を支えています。そのため、柱を必要とせず、屋内に広い空間を確保できます。間仕切りの少ない、広々とした間取りにしやすいのでしょう。
デザインの幅が広い
コンクリートの家は、枠を作りその中にコンクリートを流すことで造られます。そのため、形や間取りを柱の位置などに縛られずにデザインすることが可能です。例えば、曲線の外壁など、木造建築では難しいユニークな家を造ることも可能なのです。
耐火性が高い
コンクリートは耐火性に優れていいて、1000℃の炎を2時間あてても燃えません。特に住宅密集地ではもらい火事を防ぐ効果があります。高い耐火性が期待できるので、火災保険料を木造住宅に比べて抑えられるというメリットもあります。
防音性が高い
コンクリートは木材に比べて密度が高いので、音が伝わりにくいという特徴があります。そのため、家の中の音が漏れるのを防げるだけでなく、外からの音も聞こえにくくなりますので、音によるストレスを大幅に減らせるでしょう。
コンクリート打ちっぱなしの家、そのデメリットは?
代表的なデメリットについてご紹介します。把握することで、事前に対策ができるでしょう。
気温の影響が出やすい
コンクリートには熱が伝わりやすいという特徴があります。そのため、コンクリートの家は、気候に合わせて室内の温度も変動してしまいます。
夏は暑く、冬は寒いので冷暖房費がかさんでしまうでしょう。
汚れが目立つ
コンクリートは水分を吸収しやすいという特徴があります。ほこりや排気ガスにさらされてしまう外壁では水分と一緒に汚れを吸収してしまい、汚れが目立つようになってしまうのです。
結露しやすい
高気密なコンクリートの建物は、換気がされにくいため結露が発生しやすい条件を作り出してしまいます。結露しやすい環境では、室内でカビやダニが発生しやすいでしょう。
さらに、サッシなどの金属部分は長期間水分にさらされることで、錆が出てしまうというデメリットもあります。
さらに、コンクリートの水分は3~5年かけてゆっくりと蒸発していくので建築から数年は特に結露やカビ対策が欠かせません。
建て替え・解体に費用がかかる
コンクリート住宅の解体には大型重機が必要です。また、解体したものを処分するにもかなりの費用がかかってしまいます。建て替えなどを検討している場合は、こうした費用も考慮しておく必要があります。
施工できる業者が少ない
コンクリートは温度管理や美しく仕上げるのに熟練の技術を要します。そのため、コンクリートの家は施工できる業者が限られてしまいます。今後のメンテナンスのことを考えれば、信頼できる業者を見つけることが非常に大切です。
コンクリート打ちっぱなしの家が向いているのはこんな人!
さまざまなメリットやデメリットがあり、一般的な木造住宅とは勝手が違うコンクリート住宅。コンクリート打ちっぱなしの家での暮らしはどんな人に向いているのでしょうか。
インテリアにこだわりたい人
コンクリート打ちっぱなしの家は、何といってもデザイン性の高さが特徴。コンクリートのキューブ型などの家は装飾を排した無機質でシンプルな雰囲気は、まるでカフェのような非日常的な空間を演出できるでしょう。
また、空間を広くとれるので、大きめの家具を置いいたり、レイアウトにこだわることも可能です。
防音が必要な人
音楽を仕事としていたり、学んでいたりする人にとっては家での練習はとても大切なものでしょう。防音性の高いコンクリートの家でなら、そういった練習部屋の設置も可能です。また、ホームパーティーを頻繁に開く、シアタールームで思いっきり映画を楽しみたいといった場合も防音性の高い家なら近隣とのトラブルのリスクを減らすことがで切るでしょう。
住宅密集地に家を建てる人
耐火性に優れているので、近隣の住宅と距離が近くても家事の心配がなく敷地を有効に使うことが可能です。また、コンクリートは壁そのもので家を支えているので、広々として間取りが可能なだけでなく柱の設置による無駄なスペースが生まれることもありません。
そのため、住宅密集地など広い土地を確保しにくい場所でも比較的広い間取りを叶えることができるでしょう。
コンクリート打ちっぱなしの家で快適に暮らすには?
コンクリート住宅で、快適に暮らすにはどんなことに気を付ければよいのでしょうか。
暑さ・寒さ対策をしっかりとする
コンクリート住宅に暮らすうえで一番のネックになるのが、室温調整です。窓からの外気を防ぐために断熱タイプのカーテンを使う、家にいる時間に合わせてエアコンをつけるなどの工夫が大切です。
除湿対策
コンクリートの家では除湿が大切です。除湿方法で一番手っ取り早いのが換気です。一定時間ごとに窓を開けて空気の入れ替えをしたり、換気扇を回し続けたりすることで換気ができます。
また、除湿器を稼働させる、暖房には水分を発生させる石油ストーブは使用しないなど考慮しましょう。
コンクリート打ちっぱなしの家をきれいに長持ちさせるには
コンクリート打ちっぱなし住宅は木造住宅とは異なるメンテナンスが必要です。長く快適に暮らすためにはどんなメンテナンスが必要なのでしょうか。
外壁洗浄を行う
外壁には、「シミ」や「コケ」「カビ」といった汚れがついてしまいます。これらの汚れは高圧洗浄で落とせますが、コケやカビの根が残ってしまい、水だけで汚れが落としきれない場合があります。その場合はバイオ洗浄剤などの薬品を使用して洗浄すると汚れを落とすことができますが、薬品で洗浄する前に業者に確認してみましょう。
外壁の汚れは避けられないので、定期的なメンテナンスが欠かせません。外壁洗浄の目安は5年に1回程度です。
ひび割れ補修
コンクリートは年数が経つとひび割れが起きることがあります。地震や大雨で地盤が沈んだことで、外壁にゆがみが出てしまったり、コンクリートが乾燥して縮んでしまったりすることが主なひび割れの原因です。
ひび割れは、セメントやモルタルを使用してひびを埋めるようにして補修します。ひび割れの大きさに比例して費用も高くなりますので、小さなひび割れはすぐに補修するとよいでしょう。
壁面塗装
コンクリート打ちっぱなしといっても、外壁を保護するために、撥水材や透明の塗料を使用していることがほとんどです。これらは、水をはじいたり、劣化を防いだりしてコンクリートを保護します。
塗装は時間と共にはがれたり、劣化したりするので、定期的なメンテナンスが欠かせません。使用する撥水材や塗料によって効果や費用・耐久性が大きく異なるので、事前に特徴を調べ、建てた業者に相談するとよいでしょう。
まとめ
広い空間がとれる、防音効果が高いなどの特徴があるコンクリート打ちっぱなしの家は、インテリアや音楽を自宅で思いっきり楽しみたい人にとって理想的な空間をもたらしてくれるでしょう。
室温対策と結露対策を、計画の段階から、効率的に対策できるようにしっかり考えていくことで、快適に過ごせるでしょう。そうすれば、木造住宅とは一味違ったこだわりの暮らしを手に入れられるはずです。