レトロでどっしりとした趣のある佇まいが魅力のレンガの家。外国の映画や絵本のなどでは見て憧れを抱いたという人もいるでしょう。しかし、日本においてはレンガ造りの家を目にする機会はあまりありません。そのため、憧れはあるものの、レンガの家についてよく知らないという人も多いのではないでしょうか。
そこでレンガの家はどういうものなのか、実際に住んだときのメリットやデメリットをご紹介します。レンガの家に憧れがある人やマイホームは洋風にしたいと考えている人はぜひ参考にしてください。
古くからあるレンガの家
レンガの家の歴史は古く、なんと紀元前4000年頃に始まります。レンガが日本にやってきたのは、比較的最近で幕末頃といわれています。
その後、1870年に日本で初めてのレンガ工場が作られ、さまざまな建造物に使われるようになりました。東京駅・横浜赤レンガ倉庫・富岡製紙工場などは、文化財にも指定されていて現在でもその姿を見られます。
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— ひ̤̫つ̤̫じ̤̫隊̤̫長̤̫ (@captain_S_sheep) July 19, 2020
しかし、関東大震災では多くのレンガ造りの家が被害を受け、地震大国である日本ではレンガ造りの家が減っていき、その姿はあまり見られなくなっていきました。
技術の進歩により耐震性が高い家づくりが可能に
レンガ造りの建物は、レンガをモルタルで接着して造るのが一般的でした。しかし、この工法では、耐震性が弱く建築基準法を満たす強度が得られないため、建築許可が認められないといった時期もありました。
近年では「レンガ内部に穴を開け、基礎から鉄筋を通す」工法が開発され、耐震問題も解決できるようになりました。さらに、「レンガ中空積み工法」という外壁をレンガの壁で覆う工法であれば、一般的な住宅よりも耐震性が高くなるほどです。
レンガの家のメリット
見た目が美しいことはもちろん、レンガの家にはさまざまなメリットがあります。
耐久性が高く、メンテナンスが不要
レンガは陶器などと同様に焼き物の一種で、腐ることはなく耐久性は半永久的です。さらに、カビが生えにくい、紫外線や風雨に強いので劣化しにくい特徴があります。そのため、レンガは基本的にメンテナンスが不要です。それどころか、年月とともに風合いが増してより美しさを感じることでしょう。
また、積み上げ工法の場合は下地や土台も傷みにくいというメリットも。ただし、モルタルの防水処理は定期的に行う必要があります。
日本で家の外壁によく使われているのがサイディングボードという壁材です。これは時間の経過とともに劣化してしまい、約10年に1回は塗装などのメンテナンスが必要とされています。このようなランニングコストがかからないのはレンガの家の大きな魅力です。
流行に左右されない
レンガ造りの家は独特の温かみのある雰囲気と重厚感を持ち、長い間人々を魅了してきました。
最新のデザインを取り入れた家は流行に左右され、数十年たつと古臭く感じることもありますが、レンガの家は流行に左右されることなくオシャレな佇まいを維持できるでしょう。
それどころか、レトロな雰囲気を好む人にとっては年々魅力を増していくように感じるのがレンガの家のメリットです。
断熱性・蓄熱性・耐火性が高い
レンガの中には小さな気泡が無数にあり、そこに外部の暑さや寒さを取り込むことによって、外部の熱を伝えにくくしています。そのため、内部の温度を一定に保ちやすいのです。古い大型の倉庫にレンガ造りのものが多いのはこのためです。家の中では夏は涼しく、冬は暖かく過ごせるでしょう。
また、レンガが土から作られるので、耐火性が高いのも特徴です。レンガの外壁の耐火性能はマンション構造、耐火構造、1級のいずれかに当てはまるので、火災保険料が低く抑えられるでしょう。
知っておきたいレンガの家のデメリット
レンガの家を建てるためには、デメリットもしっかりと覚えておきましょう。
リフォームが難しい
木造の家と異なり、しっかりとモルタルによって積み上げられたレンガは除去が難しく、リフォームが困難です。内装リフォームなら比較的簡単ですが、窓のサッシを入れ替えるなどの壁面を含んだリフォームとなると大掛かりになり、費用も高額になってしまうでしょう。
蓄熱性が裏目に出ることが
レンガは蓄熱性が高いのですが、その熱を8~10時間後に放出する性質もあります。このおかげで冬場は暖かく快適に過ごせますが、レンガづくりの家の夏場は熱帯夜に拍車をかけてしまうこともあります。
コンクリート造りのマンションなどと同様に、夏場は夜間に熱中症になる恐れもあるので、冷房機器を整えたり、熱を逃がす工夫をしたりすることがとても大切です。
施工できる業者や職人が少ない
日本ではレンガ造りの家は一般的ではないため、レンガについての工法や技術について詳しい業者や職人が少ないという問題があります。実際に業者や職人が見つからず、レンガ造りの家を断念するケースもあります。
坪単価が高く、時間がかかる
レンガの家は木造で家の主要な構造を作り、その外側にレンガを1つ1つ積んで覆っています。また、モルタルを乾燥する時間も必要です。そのため一般的な住宅に比べ工期が長くなってしまいます。こうした手間と時間をかける分、おのずと坪単価も高くなるのです。
レンガ造りが難しいかもと感じたら
工期や価格がネックになって本格的なレンガの家は難しいかも…と思っている人は別のものに目を向けてみてはいかがでしょうか。
一部分だけをレンガにする
外壁すべてをレンガにすることは難しくても、一部にレンガを取り入れることができます。例えば、玄関や正面に当たる壁に取り入れるだけでもデザインのポイントとなって外観に彩りを与えてくれるでしょう。
レンガタイル
メンテナンスが不要などのメリットはありませんが、レンガタイルであれば、工期や価格を抑えながらもレンガ造りの外観の家を手に入れられます。また、普通のレンガよりも加工しやすいというメリットもあります。
レンガ調サイディングボード
一般的な外壁材であるサイディングボードの中には、レンガ調のデザインを施してあるものがあります。レンガとは全くの別物ですが、これを使うことで、見た目だけはレンガ調にすることができます。
サイディングボードは一般的な建材ですので、取り扱う職人や業者を選びません。また、工期や初期費用をぐっと抑えることができます。さらにアンティーク調や北欧風などのデザインから好きなものを選ぶこともできます。
まとめ
レンガの家の持つ独特の雰囲気やメンテナンスフリーといった機能性は家を建てるうえで大きな魅力となるでしょう。
その反面、レンガづくりの家はリフォームしにくい、価格が高いといったデメリットも持っています。
場合によってはレンガタイルやレンガ調サイディングボードなどの選択肢もあります。それらを組み合わせれば、きっと自分にぴったりのマイホームに近づくはずです。