2019
12.04

住宅ローンの審査が通らない人の特徴やローン審査の対策について

家のいろいろ豆知識

夢のマイホームを購入するにはローンを組む必要がありますが、住宅ローンは、申し込めば必ず融資が受けられるということではありません。

家を買うために住宅ローンで融資を受けるのには、銀行などの金融機関が実施している審査に通らなければなりません。手付金を払って物件を押さえても、住宅ローンの審査が通らなければ、最終的に家を購入することができません。

金融機関のローンの貸し付けは、どのような仕組みになっていて、何が審査の対象になっているのでしょうか。また、住宅ローンの審査に受からない場合、理由としてどのようなことがあるのでしょうか。

住宅ローンの審査が通らない人の特徴や、どのような準備をするとローンが通りやすくなるのかなどについて説明します。

住宅ローンの融資の流れ

住宅ローンは融資の額が大きく、返済期間が長期にわたるため、借入者のローンの返済が滞れば、金融機関は大きな損失を被ります。そのため、金融機関は住宅ローンの貸し付けに際して、年収や職業、年齢や健康、住宅の価値などについて細かな審査を行います。

この融資のための審査は、「事前審査」と「本審査」の2段階に分けて行われています。

よくあるトラブルが、住宅ローンの金融機関の「事前審査」は通って物件購入の手続きが進んでいるのに、「本審査」が通らないというケースです。

「事前審査」と「本審査」とは、どのような審査なのでしょうか。

「事前審査」とは?

住宅ローンは、家を買うことを目的とした資金の貸し付けであるため、実際に売買契約が締結して初めて、正式な融資の契約となります。

しかし、住宅の購入では、事前に購入資金のめどが立たなければ、個人が高額な家を買うための売買契約を結ぶことができません。

そのため、金融機関に購入予定の物件に対して、事前に貸し付けを受けることができるか審査を申し込みます。

金融機関は、購入物件・年齢・年収・職業・健康状態など、申請者の自己申告に基づき内容を審査し、通常、3~4営業日で融資できるかを回答しています。

これが「事前審査」と呼ばれるもので家を買いたい人は、「事前審査」に通って融資が受けられるめどを立ててから、物件購入の手続きを進めてゆきます。

最近では、インターネットで申し込みを受け付けている金融機関も増え、「事前審査」は比較的簡単に受けることができます。

「本審査」とは?

住宅を購入する人は「事前審査」を通り、物件購入の売買契約を成立させると、金融機関に正式な融資の申し込みをします。「本審査」では、「事前審査」の返済期間や勤務先の会社の業態、勤続年数や勤務形態、健康状態などを改めて審査します

源泉徴収票などの書類に基づき、年収などが再審査され、返済負担率や借入比率、購入する物件の担保価値も書類に基づいて再審査されます。

本審査は、事前審査よりも詳細なチェックが行われるため、早くて1週間程度、さらに長く時間がかかることもあります。

住宅ローン契約の締結

住宅購入者は「本審査」で問題なければ、金融機関との間で「住宅ローン契約」を結びます。

「住宅ローン契約」では、不動産会社から、購入物件の売買契約書や重要事項説明書、建築確認済証や登記事項証明書を入手して提出します。源泉徴収票、住民税の課税証明書、登記簿謄本、印鑑証明書、住民票、本人確認書類なども揃えて提出します。

夫婦共同名義の場合はそれぞれの書類が、また、連帯保証人の印鑑証明書や収入証明書も必要となります。

一般に、金融機関と売主、買主、司法書士が一堂に介し、書類を交わすことで、購入物件の引き渡しと同時に、金融機関からの借り入れが成立します。

そこで初めて融資が実行され、司法書士が登記所に出向いて不動産の所有権移転登記がなされます。

住宅ローン契約から、実際の住宅の引き渡しを伴う借り入れには、2週間から1カ月ほどかかる金融機関もあります。

住宅ローンの審査の基準

事前審査に通っても、本審査が通らずに、融資を受けることができない場合もあります。

本審査を通すためにも、住宅ローンの申請前に、どのような点が金融機関の審査の基準となっているのかを確認しておくことが重要です。実は、審査の基準は金融機関によって異なりますが、重視しているポイントはある程度共通しています。

国土交通省の調査によると、審査で重視する項目は、「健康状態」「借入時・完済時の年齢」「担保評価額」「勤続年数」「年収」「返済負担率」「借入比率」「連帯保証」「雇用形態」「国籍」「ローン返済履歴」などが挙げられています。

参考:国土交通省「平成30年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」

ほとんどの金融機関は融資に際して、団体信用生命保険(団信)への加入を条件とし、万が一の場合は保険金が残額の返済に当てられるようになっています。

そのため、健康状態が悪くて団信の生命保険に加入できなければ、融資の申し込みはできないことになります。

借入時・完済時の年齢

35年ローンで、定年予定の65歳までに完済する計算では、借入時の年齢が30歳となります。しかし、実際には、30歳で住宅の購入を決断できる人は少ないため、完済時の年齢を80歳としている金融機関も多いのが現状です。

借入時の年齢が35歳ならば30年ローンを組んで65歳で完済する、などと、自分のライフプランに合わせて期間と完済時期を決めていきます。

日常生活に無理なく返済してゆくことを考えれば、開始時期はできるだけ早いほうがよく、また、40歳以上になると銀行の審査も厳しくなるようです。

担保物件の評価額

金融機関は、もし借入者がローンを返済できなくなった場合、物件を差し押さえて売却することで資金を回収します。そのため、本審査では、物件の築年数や住宅としての価値を厳密に審査し、担保物件が融資額にふさわしい不動産であるかを審査します。

築年数の古い中古物件は、住宅の評価が低いため、申請した借入額が認められないケースもあります。

勤続年数・雇用形態の条件

勤続年数は、以前は2年以上、3年が目安と言われていましたが、最近は緩和されている傾向にあるようです。キャリアアップの転職ならば、勤続年数2年に満たなくても審査に通ることもあるようです。

自営業者の場合は、一般に、過去3年間の確定申告が審査対象となるため、起業して3年以上でなければ申請できないことになります。

しかし、医師や弁護士のような国家資格を持った人ならば、医院や事務所を開設して1年でも、利益が出ていれば認められることもあるようです。

雇用形態は、正社員の方が審査に通りやすいですが、契約社員やパートでも通ることはあるようです。

審査の基準は金融機関によって異なるため、まず申請してみましょう。

年収と返済負担率

「年収」に対して借入額が多く、返済時の負担率が高すぎると判断された場合は、審査が通らないことがあります。

「返済負担率」とは、利息を含めた年間返済額の年収に占める割合で、金融機関によって異なりますが、約30%から35%以下となっています。40%までと基準の緩いところもありますが、一般に、借入総額は年収の7~8倍が限度で、「年収の5倍」までが理想と言われています。

例えば、年収400万円の人ならば、借入額2000万円が理想で、年間80万、月々7万以下ならば、無理なく返済できるという計算になります。

ちなみに、金融機関の返済時の利息は、金利の変動を考慮し、その時の金利よりも高めの「審査金利」で計算されます。

また、返済負担率は、現在の他の借入額も含めて計算され、車のローンや奨学金、消費者金融からの借入や携帯端末の分割支払いなども含まれます。

借入比率(借入額/担保価格)

借入比率とは、購入する住宅の価格に占める借入額の比率で、頭金で支払われなかった残額の、購入価格に対する比率です。

頭金を多く払うほど借入比率は小さくなり、審査は通りやすくなります。

信用情報とローン返済履歴

「信用情報」とは、申請者の今までの借入に対する支払い状況や、クレジットカードの利用履歴のことです。金融機関は「信用情報」を基に、返済延滞の有無を厳しくチェックします。

クレジットカードの引き落としや、キャッシングの返済が61日以上遅延すると、信用情報に「異動」と記録され、審査に通らなくなります。

また、「異動」の記録が消滅するには、返済してから5年間の期間が必要になります。

住宅ローンの審査が通らない人の特徴

住宅ローンの審査が通らない人の特徴として、事前審査と本審査の申請内容が異なる人、健康状態に問題がある人、収入に対する借入額が多すぎる人などがあげられます。過去ローン返済に滞納があったり、現在のローンの比率が高かったり、年収が基準をクリアしていない場合も考えられます。

また、転職で勤続年数が足りなかったり、開始年齢が遅かったり、中古物件で担保評価額がクリアできない場合もあります。

前述の審査基準を確認しながら、申請にあたっては、特に下記の点を注意してチェックするようにしましょう。

事前審査と本審査の申請書の内容確認

金融機関に提出する申告書の内容が、事前審査と本審査と異なる場合、申告内容に他にも不正がないか、より厳しいチェックが入ります。

そのため、Webで事前審査を申し込む時にも、正確な内容を記入して、本審査の内容と食い違いが起きないように注意が必要です。

また、本審査では「源泉徴収票」などの書類を提出するため、事前審査の年収などの申告内容が、提出書類と異なることのないように気をつけましょう。

過去の返済の滞納記録の確認

ローン返済履歴で、過去5年以内に返済滞納がある場合は、個人の信用情報に問題があるとして審査が通らなくなります。

過去に、滞納、貸倒、債務整理などのネガティブな情報があると、信用情報に「異動」と記載されます。

信用情報は、割賦販売法・貸金業法指定信用情報機関(CIC)・日本信用情報機構(JICC)全国銀行協会(KSC)などの機関で管理されています。

自分の信用情報を取り寄せて調べることもできるので、過去5年以内に滞納しているかもしれないと思う人は、事前に確認しておくのをおすすめします。

現在のローン借入総額の確認

奨学金、キャッシングやカードローンの借入額、車や携帯などの商品の分割払いを整理し、毎月いくらのローン返済額があるかを確認しましょう。また、借入額で融資額が異なるため、事前審査から本審査までの間に、新たに消費者金融で借入をすると、審査が通らないこともあります。

キャッシングやカードローン機能の付いているクレジットカードで、使用していないものがあれば、これを機会に解約しておくのをおすすめします。

複数のカードを使っている場合は、各々の引き落とし口座を確認し、本審査までに返済遅延が起きないよう注意しましょう。

「事前審査」と「本審査」の間の転職や収入減

転職を考えている人は、転職前にローンを組む方が有利になりますし、収入減額が予想される場合は、早めにローンを組んだ方が借入しやすいと言えます。また、本審査の前に転職していたり、実際の収入が減っていたりすれば、規定の勤続年数に満たなくなっていたり、融資の額が認められなかったりもします。

住宅ローンを考えている人は、勤続年数と年収、年齢と健康を考慮して、ベストで安定した時期に「事前審査」と「本審査」が受けられるようにしましょう。

審査に通らない可能性のある場合の対策

審査に通らない可能性のある場合は、どのような対策を取れば良いでしょうか。

共働きの世帯ならば、夫婦でローンを組むことが可能で、その場合は二人の年収を合算して借入額を増やすことができます。「ペアローン」の他に「連帯保証」や「連帯債務」をつける方法がありますが、権利関係はできるだけ簡単にしておいた方が将来的にトラブルを減らせます。

また、親からの贈与を利用して頭金を増やしたり、ネットの「一括審査申請サービス」などで、複数の金融機関に申請してみるのも良いでしょう。

借入額を減らすために頭金を増やす

年収に対する融資の額が大きく、返済負担率(通常30~35%程度)が高くなる場合は、審査が通らない確率が高くなります。

頭金の額を増やして、借入額を抑える努力をするか、それが難しい場合は物件の価格を下げる決断が必要です。

家を購入するときには、頭金として準備できる金額と、ローンが組める金額を計算して、「実際に購入できる物件価格」を正しく計算することが大切です。

複数の金融機関に申請

金融機関によって審査の基準が異なり、判断は支店によっても違うため、審査が通らない場合は諦めずに、他の金融機関や支店にも申請してみましょう。

住宅ローンの「フラット35」では、物件審査の占める比率が高く、勤続年数などの基準はゆるく、団信加入が任意の場合もあります。また、自営業者の場合は、日頃から取引で利用している地域の銀行や信用金庫の方が、融資が降りやすい傾向があります。

物件購入価格の見直し

頭金は住宅購入価格の約2割と言われていますが、実際には購入時に、諸費用や税金を含めて、3割ほどの初期費用が必要となります。

完成引渡しの時期がずれれば、入居まで期間の仮住まいの費用も必要になります。無理をして融資を受けることができても、将来的に住宅ローンの支払いで家計が圧迫され、手放さなければならなくなることもあります。

無理な額の借入を模索するよりも、購入する物件価格を見直した方が、結局は良い結果につながります。

しっかりとした返済計画が重要

頭金はいくら用意できるか、返済期間を何年にするか、住宅ローンの金利をどう読むかなど、住宅ローンを申請するには多くの計画と準備が必要です。

住宅購入後の生活費や子どもの教育資金、購入後の建物の修理費や税金などの維持費を考慮して、月々の返済額を決める必要があります。

また、住宅ローン以外に、将来の病気・怪我・失業などの、万が一の事態に備えた「生活予備費」を確保しておかなければなりません。

会社員ならば生活費の3~6カ月分、自営業や派遣社員であれば1年分を目安に、生活費のための貯金が必要です。

今ある預金を全て頭金にしたり、生活予備費が残らないような月々のローン返済額を組んだりするのは、かなりのリスクがあると言えます。

住宅ローンの審査が通らない人の特徴のまとめ

住宅ローンを金融機関から借り入れる時には、「事前審査」と「本審査」に通り、「住宅ローン契約」を締結する必要があります。

「事前審査」はネットでも簡単にできますが、「本審査」では収入や不動産物件に関する詳しい書類を提出しなければなりません。審査の基準は、各金融機関によって異なりますが、基本的な共通点があります。

健康状態、借入時・完済時の年齢、物件評価額、年収や勤続年数、返済負担率や借入比率などが重視されるため、事前に基準をチェックしておきましょう。

審査が通らない人の特徴には、事前審査と本審査の内容が異なっている、年収が基準をクリアしておらず、収入に対する借入額が多すぎる、などがあります。

また、過去にローン返済に滞納があったり、現在のローンの比率が高かったり、転職で勤続年数が足りなかったりなどの理由も挙げられます。
事前審査に通っても、本審査でローンが降りなければ、せっかくおさえた物件も結局購入できないことになってしまいます。

住宅ローン以外に、将来の万が一の事態に備えた「生活予備費」を確保し、無理のない月々のローン返済計画を建てる必要があります。
物件価格の見直しも視野に入れて、健全なローンを組むように心がけましょう。