屋上のある家のメリットとデメリットとは?活用例とメンテナンス情報

屋上で日焼けを楽しんだり、子供を遊ばせたり、家庭菜園をしたり、屋上のある暮らしに憧れている人も多いのではないでしょうか。
しかし、屋上のある家はまだあまり普及していないため、注文住宅で屋上のある家を建てるのに不安もありますね。

ここでは、どのような屋上の活用方法があるか、屋上のある家のメリットやデメリット、屋上のメンテナンスや注意点も含めて紹介します

屋上のある家の活用例

それでは、屋上の楽しい活用アイディアをいくつか紹介しましょう。

リゾート気分で楽しめる屋上空間

屋上があれば、昼寝をして日光浴を楽しんだり、ビールを飲んだり、休日自宅にいながらも、非日常的なリゾート気分が味わえます。

ガーデンファニチャーを用意して、友達を呼んでバーベキュー・パーティをしたり、夏の夜は家族で夕食を屋上で食べたりするのもいいですね。

ジャグジーを屋上に設置し、ミニバーを作るなど、さまざまな遊び心いっぱいの空間をつくることもできます。

屋上で花火や夕涼みが楽しめる

夏の夜は夕涼みしながら、夜空に打ち上げられる花火を楽しむのもいいですね。

友達を呼んで、ビアーガーデンのようにして、ワイワイと騒ぐのも楽しい時間になります。

また、屋上ならペットも一緒に気兼ねなく過ごせます。

屋上は絶好のドッグランになり、リードをつけずに自由に犬を走り回らせることができます。

屋上を子供の遊び場にする

街中の家では、のびのびと子供を遊ばす場所も少なく、子供たちは家の中で、テレビやゲームをして過ごす時間が多くなりがちです。

屋上のある家では、屋上を子どもの遊び場にすることができます。

夏にビニールプールで水遊びをさせたり、屋上にテントをはってキャンプ遊びでアウトドア気分を味わうのもいいですね。

夜空の星を眺めたり、親子で一緒に楽しい時間を過ごすことができます。

屋上で家庭菜園を楽しむ

最近では、ベランダでプチトマトやバジルを育てている人も多いのではないでしょうか。

屋上では、屋上専用の軽量土を使って、充実した家庭菜園をつくることができます。

子供と一緒に季節の野菜を作り、無農薬野菜で料理をすれば、「食育」の一環となり、子供に食事の大切さを教えることができます。

都心のビル街では、屋上の緑化運動が行われるほどで、緑のある暮らしは生活の癒しや心の豊かさにつながります。

洗濯物・布団を干して太陽光線で殺菌

子育て世代では洗濯物の量が多く、ベランダだけでは、布団を干すスペースも不足がちです。

洗濯物を全て乾燥機で乾かすと、時間も費用もかかりますが、屋上では太陽光で短時間で乾かすことができ、殺菌作用もあります。

天気の良い日には、溜まっていた洗濯物をいっきに片付けるのもいいですね。

紫外線は殺菌力があるため、観葉植物なども定期的に日光浴をさせて、土の中に繁殖しがちな菌を取り除くことができます。

屋上のある家のデメリット

屋上のある家のデメリットは、周囲に高い建物があれば、プライバシーが確保されず、転落防止に高い立ち上がりの壁を作る必要があります。しかし、そのような対策をすると閉塞感が生まれます。

また、家庭菜園をする場合は、水道の蛇口をつけたり、物の持ち運びがしやすいゆったりとした階段設備が必要です。

地域によっては、雪や火山灰などが積もることも、考慮しておかなければなりません。

一般的に陸屋根の住宅は雨漏りしやすく、防水工事の維持費がかかること、最上階の部屋が暑くなりやすい、などのデメリットがあります。

せっかく屋上のある家を建てても、利用しなければ、維持費ばかりかかることになります。

そのため、屋上のある家を建てるには、事前に十分な対策をとっておくことが必要です。

屋上の安全とプライバシー確保の対策

屋上では、落下事故を防止し、安全を確保するために、立ち上がり部分や手すりの高さを十分に取る必要があります

また、近隣に高い建物がある場合は、プライバシーを守ために、ラティスなどの格子戸の設置も必要です。

カフェやレストランの軒先に使われる、巻き上げ式のオーニングテントなどの日よけも、プライバシーの保護に良いでしょう。

しかし、強風による設置物の落下事故が起きないよう、手すりやラティス、オーニングテントなどの取り付けは、常時点検する必要があります。

屋上は、紫外線や風雨の影響を受けるため、設置物の耐用年数は、一般の使用よりも短くなるので注意が必要です。

屋上のある家を建てる際の構造上の注意点

一般的な住宅の屋根は「切妻屋根」「寄棟屋根」「片流れ屋根」で、屋根の傾斜を使って、雨水を効率的に地表に流す仕組みができています。

いっぽう、屋上のある家は「陸屋根(りくやね)」で、上が平らなっていて、排水設備をきちんと付けなければ、屋上に水が溜まりやすい構造です。

また、屋根裏空間がないため、温度調整がしにくく、断熱材などを使用する必要があります。

屋上を作るならば、陸屋根住宅の維持・管理についての知識を持っておきましょう。

陸屋根は水はけが悪く雨漏りしやすい

陸屋根では、落ち葉や土が排水口に溜まらないよう注意し、防水工事を定期的に行う必要があります。

日頃から、床面に泥が溜まって雑草が生えていないか、水はけが悪くなっていないか、雨どいがつまりかけていないかチェックしましょう。

屋上に庭を作る場合は、防水工事をしていても、植物の根が防水層を破ってコンクリートにダメージを与えることもあり、防根対策が必要です。

一般住宅の屋上の緑化は、雨漏り対策の面から、専門家のアドバイスをしっかりと受けることをおすすめします。

屋上の定期的なメンテナンス

陸屋根住宅では、建物を雨漏りから守るために、屋上のコンクリート床のヒビ割れ補修(コーキング)が必要です。

屋上床のクラック(ヒビ割れ)から雨水が侵入すると、侵入経路から腐食が広がり建物の強度が失われて、耐震性にも影響してきます。

そのため、最上階の部屋の天井に雨染みができたり、雨漏りする場合は、専門業者による早急な防水工事が必要です。

防水工事は大規模な修繕工事となり、費用もかかるため、日頃から排水口の清掃やヒビ割れ補修のメンテナンスを怠らないようにしましょう。

屋上の防水工事の種類

屋上の防水工事には、ウレタン防水、アスファルト防水、シート防水があります。

「ウレタン防水」は、液体状のウレタン樹脂塗料を塗る「塗膜防水」です

複雑な形状の屋根でも行えて、他の防水工法よりも費用が安く、工期も短いため、全国の陸屋根の屋上の半分近くが、ウレタン防水を採用しています。

しかし、耐用年数は10〜13年と短く、ウレタンの塗装技術にも左右されるため、信頼できる施工業者に依頼しましょう。

いっぽう、「アスファルト防水」は、アスファルトでコーティングしたシートを貼り重ねる工法で、耐用年数が長く、ビルの屋上に広く使われています。

一般住宅では、アスファルトに重量があるため、塩化ビニールの防水シートを貼る「シート防水」がよく行われます。

「シート防水」は「塗膜防水」より耐用年数が長くなりますが、シートを貼る作業上、複雑な形状の屋上には向いていません。

屋上のある家を建てる場合は、防水工事のことを考慮して、できるだけシンプルな屋上の設計にするのがおすすめです。

屋上へ昇る階段の種類

屋上へ昇る階段には、屋外に設置する「外階段」と、階段室をつくる「内階段」があります。

屋上へ上る外階段の設置と注意点

「外階段」は、2階バルコニーなど、屋外に設置される階段で、建物に階段室をつくるよりも費用は安くあがります。

外階段は、転落防止の手すりや、足元の滑り止めがしっかりと付いていて、安全で昇りやすいものを選びましょう。

外階段は紫外線や風雨にさらされるため、サビで傷みやすく、定期的な鉄部の塗装が必要です。

特に、鉄やアルミは錆びやすいため、ステンレス製の強度の高い素材がおすすめです。

強風による落下の危険があるため、風の抵抗の少ない造りの外階段を選び、地震の揺れに備えて、取り付け部分の定期的な点検を忘れずにしましょう。

屋上へ昇る内階段の設置と注意点

内階段」は、階段室や塔屋(とうや)を作って屋上へ昇る経路を作り、費用はかかりますが、外階段のような雨風による劣化の心配はありません。

塔屋」とは、ビルやマンションの屋上に見られる突き出した部分で、一般に、階段室、エレベーターの機械室、空調・給水設備室に利用されています。

建築基準法では、階段室は、建物の床面積の8分の1以内で、居室として使用していなければ、塔屋として扱われ、階数には含まれません。

また、戸建て住宅の屋外の階段幅は90cm以上、内階段なら75cm以上と、幅寸法の規定があります。

塔屋をつけて、屋上が利用できるよう改築できますが、リフォームに際しては、荷重が大きくなるため、既存建物の構造計算が必要となってきます。

まとめ

屋上のある家では、住む人のライフスタイルに合わせて、屋外空間をさまざまに活用することができます。

敷地に余裕のない家でも、屋上を庭がわりに利用でき、プライベートな空間を確保して非日常的なリゾート気分が味わえます。

しかし、屋上のある家は、傾斜のある屋根の家よりも雨漏りがしやすく、定期的な防水工事に維持費がかかります。

階段の設置も含めて、利用しやすい屋上の設計にすることが必要で、専門家のアドバイスも取り入れて、事前に十分な計画をたてることをおすすめします。