地下室のある家のメリットとデメリットとは!容積率緩和や災害時対策など

海外では石造りの家も多く、地下室にワインセラーのある古い住宅は人気です。日本でも近年、さまざまな用途に利用できる、地下室のある家が注目されてきています。

家を新築するとき、理想のライフスタイルを実現する手段として、是非とも検討してみたいものです。また、都心部の地下のある中古ビル物件を、住宅用にリノベーション する人も増えてきています。

ここでは、地下室の活用方法や、地下室のある家のメリットやデメリット、設計・維持・管理で注意すべき点などを紹介します

地下室のある暮らし

地下室は建物の地下にある部屋ですが、窓のない地下室は、基本的に「居室」としては認められていません

建築基準法では、地下室は「納戸」に分類され、人が常にいる部屋を想定していません。

そのため容積率などの緩和措置があり、都心部の狭小地では、メリットも多くあります

地下室のタイプ

地下室には、「全地下タイプ」と「半地下タイプ」があり、それぞれ使い勝手も異なってきます。

「全地下タイプ」では、部屋全体が地下に埋まった設計で、窓がない反面、断熱性・遮音性に優れています。

「半地下タイプ」は、部屋の半分が地面の上に出ていて、外の採光を取り込むことができます。

また、「全地下タイプ」でも、ドライエリア(dry area)を作ることで、地下室でも、外からの光を取り込むことができます。

ドライエリアとは、地下室の壁の一部に開口窓ができるように、建物の外壁を掘り下げた空間のことで、「空掘り(からぼり)」とも呼ばれています。

ちょうど、商業ビルの地下フロア入り口に植え込みがあり、ガラス越しに緑の景色と自然光が楽しめるような構造です。

ドライエリアは、採光を取り込むほか、換気や避難経路の確保にもなり、閉塞感を取り除いて地下室の環境を向上さすことができます。

地下室のあるビルの住居リノベーション

都心部は地価が高く、新築の100㎡を超えるマンションを買うには、費用がかかります。

また、一般住宅で地下を作るには、鉄筋コンクリート(RC構造)の建築費用が高額になります。

そのため、地下室のある中古ビルを、住宅用にリノベーションして住むという選択肢もあります。

都心部の地下室のあるRC構造のビルでは、ドライエリアのある物件もあります。

地下室住宅の容積率の緩和とは

都心部で地下室のある家が人気なのは、建築基準法の建ぺい率・容積率が関係しています。

例えば、建ぺい率50%、容積率100%ならば、敷地の半分まで家を建てることができ、1階と同じ面積の2階(総二階建て)を作れます。

地下室のある住居に関しては、「地階の住宅の容積率の緩和」があり、延床面積の1/3までならば、地下室は容積率の計算で除くことが出来ます。

そのため、総二階にして、さらに1階と同じ面積の地下室を作ると、建坪の3倍の住居空間が活用できることになります。

都心部における狭小地の有効活用

建築規制は、地域の利用目的(用途)によって異なり、都心部の「近隣商業地域」では、建ぺい率80%、容積率300%などに設定されています。

都心部は、住宅地域よりも地価は高くなりますが、建ぺい率が高い分、狭い土地でも広い延べ床面積の家を建てることができます。

空堀のドライエリアがあれば、採光も取り入れることができ、地下室も居室として活用できます。

エレベーターがない場合は、2階リビングを挟んで、1階に玄関フロアやガレージ、3階に寝室を作ることで、階段の上り下りの負担が軽減できます。

郊外にゆったりとした家を構えても、通勤に時間がかかることを思えば、都心で地下室のある暮らしを選ぶことも魅力です。

地下室のある家のメリット

地下室は、年間通して一定の温度が保てる意外に快適な空間で、住む人のライフスタイルに合わせて、さまざまな活用方法があります。

まず、地下室のある家のメリットについて見てみましょう。

地下の家は高い都心部で土地の有効活用ができる

前述のとおり、住宅は、都市計画で定められた地域用途によって建築規制があり、地下室のある家は、容積率の規制緩和を受けることができます

「容積率」とは、延べ床面積の敷地面積に対する割合ですが、地下室は、延べ床面積の3分の1までは除外できるため、より広い住居空間を確保できます。

都心部ではこのメリットを生かして、狭小地に住宅を構え、通勤時間を短縮したり、シティライフを楽しんだりすることができます。

地下室の家は防音・遮音効果が高く非日常的な暮らしが楽しめる

全地下タイプの地下室では、音が遮断できるため、ピアノなどの楽器の練習やバンドの演奏、カラオケ、シアタールームとして活用できます

周囲に気にせずに大音量で歌ったり演奏したりできるため、非日常的な空間が自宅で楽しめます。

また、電動工具を使う趣味の部屋としても、周囲に音の気兼ねをせずに作業できます。

安心安全な子供の遊び場になる

子どもの遊び場としても、ご近所に迷惑をかけることなく、のびのびと子供を遊ばせることができます。

子供の足音や大声を制する必要がないので、親も子供もストレスなく過ごすことができます。

最近では、子供を公園で遊ばすことも難しい現代ですので、子育て世代には嬉しい空間と言えるでしょう。

地下は夏涼しく冬暖かく年間通して気温が安定している

地下室は、ワインセラーに使われるほどで外気の影響を受けにくく、年間通して気温が安定しています

日本は四季があるのは嬉しいですが、真夏は30度以上、真冬は10度以下まで下がります。

地域差はありますが、地下室は年間通して、温度が13~25度程にたもたれます。

夏場は外気よりも涼しく冬場は暖かいため、人工的な冷暖房機器が苦手な人にとっては、快適に過ごせる安らぎの空間になります。

リビングではできない自由設計で娯楽部屋が作れる

地下室では通常のリビングではできないような、遊び心のある空間を思い切って作れるのが魅力です。

ワインセラーの横にバーを作り、好きな音楽を流して、ムードのあるおしゃれな空間を作ることができます。

地下室に卓球台やダーツを置いて、温泉宿のレジャールームのようにしたり、ビリヤードやゴルフパットの練習コーナーも作れます。

壁一面に収納棚をつけて、工具に囲まれながら、DIYルームで趣味の物づくりに専念することもいいですね。

アスリートに最適なトレーニングルーム

野球やスケートなどの一流選手の中には、実は、地下室のある家で子供の頃からトレーニングをしていた人もいます。

素振りや筋トレなど、自宅の地下で、天候に気にせずに練習に打ち込むことができます。

また、練習場を借りる費用・送り迎えの手間・移動時間を考えれば、地下室は、アスリートを育てるのに理想的な空間です。

地下室のある家を建てるには建築費はかかりますが、自宅がトレーニングルームになるメリットは大きいと言えるでしょう。

YouTubeや通販商品の撮影スタジオに

近年はYouTuberが子供のなりたい人気職業に選ばれるほどで、自宅に動画撮影のコーナーを設けている人も多いのではないでしょうか。

全地下タイプの地下室では、窓がないので自由に机や機器を配置でき、撮影用照明スタンドやカメラも常設でき、外の騒音もシャットアウトできます。

コラボ対談やライブ配信などで、クオリティーの高い動画録画ができるほか、壁面に緑の布を貼り、合成編集のためのグリーンバック撮影もできます。

また、中古品販売や通販用の商品を撮影をするのにも適しており、地下室は副業に専念できる、絶好の仕事場を提供してくれます。

地下室は地震に強く緊急時の避難場所となる

タワーマンションなど、高層ビルでは上層階にいくほど、揺れの影響を受けることになります。

地下室は地盤に囲まれているため、地震の揺れに強く、竜巻や緊急時に避難場所として利用できます。

地下のある鉄筋コンクリートで構造は、地盤の上にしっかりと建築でき、災害に強い建物と言えます。

収納スペースの確保ですっきりとした生活空間が保てる

リビングやキッチンなどをすっきりシンプルに保つには、できるだけ物を置かないことが大切です。

しかし、壁収納では、扉付近には物を置くことができず、デッドスペースが生じてしまいます。

地下に収納用の棚を作り、季節の品物や電化製品、非常時のグッズなどを効率的に収納することができます。

生活スペースと収納スペースを分けることで、快適な住居環境を維持してゆくことができます。

地下室の家のデメリット

地下室がある家はライフスタイルに合わせて、さまざまな利用方法があり、非日常が味わえる活気的な空間です。

しかし、夏場に湿気がこもりやすいなど、実際に利用してみなければ分からない多くの弱点もあります。

地下室のある家を建てる前に、デメリットについても確認しておきましょう

地下室をつけると建築費が高くなる

地下室を作るには、重機で敷地を掘り、土を処分し、コンクリートで壁を成形します。

事前にボーリング調査する費用や、防水工事費・防カビ工事費なども発生し、電気や空調機などの設備にも費用がかかります

立地が悪く地盤整備の必要な場合は、地下室の坪単価はさらに高くなります。

湿度の高い夏場に結露がでやすい

土に埋まった地下の部屋は、特に夏場に、外気との温度差で結露が発生しやすくなります。

日本の夏は蒸し暑く、湿度の高い空気が地下に入り込むと、外気よりも温度の低い地下室で、水蒸気となってこもってしまうためです。

結露が出ないように常に除湿しなければ、カビが発生し、カビ臭い部屋になってしまいます

夏場は、換気のために換気扇で外気取り込むのではなく、エアコンで除湿することが大切です。

また、コンクリートは完全に水分が抜けるまでに時間がかかり、建築後数年は、特に湿気がこもりやすいので注意が必要です。

地震で閉じ込められるリスクもある

地震で地下室のドアが開かなくなった場合は、閉じ込められる危険性があります。

防音効果がある反面、救助を求める声も届きにくくなります。

開口部が狭いため、火災で煙が充満しやすく、別に避難経路を確保しておく必要があります。

豪雨や河川氾濫の浸水に注意が必要

豪雨による河川の氾濫で、水害が発生する場合、地下室の浸水のダメージは多大になります。

内部に水が入ってこない場合でも、水圧でドアが開かなくなり、地下室に閉じ込められてしまう危険性もあります。

トイレがある場合は、下水が逆流するリスクもあり、逆流防止弁付などの取り付けが必要です。

浸水した場合は、排水して元の状態に戻すのに、かなりの費用と期間がかかります。

ドライエリアを作る際の注意点

地下室は電気が切れれば真っ暗闇となり、閉塞感が漂うため、高い建築費を費やしても利用しないデッドスペースになってしまうことも考えられます。

地下室の壁面と地面の間に「空堀り(からぼり)」を設けることで、外との関係性を増し、閉塞感を解消することができます。

採光や外気を取り入れ、観葉植物を配置して憩いの空間を作り、また、地上への避難経路も確保できます。

しかし、夏場の結露の問題を軽減し、豪雨による浸水被害も想定した設計が必要です。

河川の近くの家では、ハザードマップで災害時の予想水位を調べ、ドライエリアに壁をつけるなど、最悪の事態に備える必要があります。

まとめ

地下室は、ライフスタイルに合わせて、趣味・育児・仕事など、さまざまな用途に活用することができます。しかし、建築費がかかり、結露からくるカビなどの問題もあり、実際に使ってみなければ分からない多くの課題があることも事実です。

堅牢な地下室で、防空壕のような避難場所の役割を果たしますが、水害に弱く非常時の対策も必要です。

しかしながら、利便の良い都心部に住もうと考えた時、狭小地の住宅で、建築基準法のメリットが活かせる地下室のある家は大きな魅力です。

デメリットの解消や災害時の対策などをしながら、地下室のある家の暮らしを検討することも良いでしょう。