「分譲地に建てられた建売住宅ではなく、土地を購入して自由度の高い注文住宅を建てたい」と考えている人も多いのではないでしょうか。
土地探しで、本当に良い理想の土地を見つけるのは、なかなか容易なことではありません。
ここでは、自分で理想の土地探しをする方法と、土地を選ぶときのチェックポイント、見落としてはいけない注意点について紹介します。
土地探しのポイント
理想の家を建てるには、その人の生活状況にあった土地を選ぶ必要があり、どのような条件が優先されるかは個々に異なるでしょう。
しかし、一般に高い評価を受けている土地には、共通した特徴があります。土地探しで重要なポイントになります。
・ 駅、バス停、近くの買い物などの利便性が良い
・ 校区がよく病院などの住居環境が整っている
・ 近くに緑地があり、治安が良い
・ 地盤がよく、地崩れや水害などの被害が少ない
・ 道路が広く、車を利用しやすい
・ 袋地ではなく、土地の形状が良くて家を建てやすい
上記の土地は将来的にも売りやすく、土地としての資産価値が高い、良い物件と言えます。
土地探しを自分で行う方法
自分だけで行える土地探しでは、ネットの不動産ポータルサイトを、日頃からチェックするのが最初の方法です。
しかし、現状では、本当に良い物件は、ポータルサイトに載る前に買い手がついてしまいます。
そのため、複数の不動産会社やハウスメーカーとコンタクトを取り、優秀な営業マンからより多くの情報を得ることが必要です。
また、ハウスメーカーや工務店と、家を建てる前提で、その繋がりのある不動産会社から、土地情報を得ることも可能です。
それでは、順に、詳しく土地探しの方法を見てゆきましょう。
インターネットで検索する
不動産のポータルサイトでは、沿線や地名、校区や施設など、目的にそって物件が検索できるようになっています。
また、不動産会社のサイトで会員登録して、希望条件を登録しておくと、新着物件をメールで受け取るサービスも利用できます。
大手不動産会社のスマホのアプリを使えば、通勤時間や移動中、空き時間に簡単に土地探しができます。
日頃からサイトを見ていると、相場や売れ残り物件などがわかるようになり、人気のエリアや問題のある物件の見分け方も身についてきます。
管轄の不動産屋の店舗を訪れる
顧客を多く持つ不動産販売会社は販売力があるため、売却依頼の物件をポータルサイトに載る前に、売り手を見つけることができます。
ポータルサイトに載る前の情報をいち早く知るには、不動産業者と直接コンタクトを取り、希望物件を伝えておく方法があります。
不動産業者は宅建業法に基づき、土地購入の際の重要事項説明もしてくれるので、安心して土地選びができます。
しかし、不動産業者は売主と、売却を仲介する契約を交わしており、期間内に売り捌くために、最初は有利な情報を全面的に押し出してくることがあります。
土地購入前に、設計依頼する一級建築士などに相談し、その土地に理想の家が建てられるかをチェックしてもらうのもおすすめです。
ハウスメーカーや工務店に相談する
注文住宅を建てるために、ハウスメーカーや工務店に依頼することになりますが、これらの業者は不動産会社ともつながりを持っています。
希望するエリアに「このような家を建てたい」などと相談すると、実現可能な土地があれば、広告に出る前の物件を紹介してくれることもあります。
住宅メーカーは、土地・家・経費を総合的に案内してくれるため、予算にあった土地選びができます。
工務店やハウスメーカーの後ろ盾があれば、飛び込みよりも効果的に、有力な不動産業者かの物件情報を集めることが可能です。
土地探しと並行して、注文住宅のプランや予算の検討もできるため、充分準備して住宅設計にものぞめます。
自分で希望エリアをまわって現地で探す
自分だけで行える土地探しで有効なのは、実際に希望エリアに行き、現地の売地を車などで回って探す方法です。
売地看板から地域の有力な不動産販売会社を見つけたり、売地でない空き地や空き家を見つけて、買取交渉を始めることも可能です。
実際に現地を訪れることで、地域の情報がよくわかり、住んでみてから「こんなはずではなかった」などの後悔のない土地探しができます。
売地看板から得る情報
売地の看板には、不動産会社の名前が載っているため、問い合わせて交渉することができます。また、売地看板に名前が多くあがっている不動産会社は、その地域の販売に強い、力のある不動産会社と言えます。
地元の有力者とのコネクションがあり、相続などのタイミングで土地が売り出される場合も、その不動産会社から早い時点で情報を得ることも可能です。
相続では売主側は相続税の納期があるため、買手は比較的有利に価格交渉ができ、良い土地を手に入れる機会も多くなります。
空き家や空き地
現地を足で回ると、売地の看板が出ていない土地でも、空き家や畑など、売却の可能性のある土地に出会うことができます。
荒廃した空き家は、所有者は住む意思がなくても、更地にすると固定資産税が高くなるために、家を壊さずに残している場合がほとんどです。
これらは売り急いでいない土地ですが、所有者と条件が合えば売却してもらえる土地です。
人気のエリアではなかなか売り物件がでないため、不動産業者を通して、これらの物件持ち主に売却交渉してもらうことが可能です。
現地の正確な情報収集
隣接している道路の交通量や、私道の利用状況は、実際に現地を見てみなければ分からないことがたくさんあります。
公共機関へのアクセス、病院/学校/保育所などの施設、河川や道路の高低差など、地図だけでは分からない情報もたくさんあります。
写真を撮って、メモを残して情報整理しておくと、後に見つけた物件との比較もしやすくなります。
地域の将来性の確認
役所で都市計画の用途地域や地目、建ぺい率や容積率、高さ制限などを確認することができます。
第一種・第二種低層住宅専用地域、または、商業地域に指定されているかなどで、高層マンションの建設や、その地域の今後の発展状況も見えてきます。
どのような建築制限があるのか、将来的に周辺にどのような建物が立つことになるのか、自分の目で確認することは大切です。
土地探しで重要な土地相場の調べ方
土地は高価な買い物であるため、購入前にその土地の適正価格を調べることをお勧めします。
相場より高い土地を購入すると、売却するときに、購入価格よりも安い金額でしか売れず、損失が出てしまいます。
土地の相場を調べる方法では、
①ネットで類似物件を見つける
②土地総合情報で調べる
③路線価で調べる
などの方法があります。
ネットの不動産ポータルサイトから類似物件を見つける
ネットで充実したポータルサイトを持っている、大手不動産情報サイトで、同じエリアの売り出し価格を調べます。
駅からの距離や路線沿線、住居環境など、条件の似た物件を見つけて価格を比較してみましょう。
しかし、ネットに記載されている価格は、売主と買主の価格交渉を前提としていることも多く、正確な適正価格とは言えません。
国土交通省の土地総合情報システムで調べる
国土交通省では、実際の取引価格をアンケート調査し、信頼性の高い土地の価格を表示しています。
地価は、ネットの「土地総合情報システム」の「地価公示・都道府県地価調査」や「不動産取引価格情報検索」の項目から調べることができます。
ネットで最新の情報が閲覧できるので、有効な方法と言えます。
路線価から計算する
路線価は、国税庁のホームページの「路線価図・評価倍率表」のサイトでチェックできます。
路線価は、固定資産税や相続税など税金を計算するために、国税局が毎年、全国の基準地を調査して算出する、土地の公示価格から計算されています。
ちなみに、「固定資産税路線価」は公示地価の約7割、「相続税路線価」は公示地価の約8割となっています。
土地探しで知っておいた方がよいポイントと注意点
適正な価格で土地取引の交渉ができても、その土地に実際に理想の家が建てられるかどうかを、購入する前に確認する必要があります。
都市計画の用途地域
購入した自宅の前に、ある日突然、高層マンションが建つ可能性があるのをご存知でしょうか。
行政の「用途地域」指定では、主に「住居系」「商業系」「工業系」に分けて、「この土地は、〇〇の用途に使ってください」と地域の土地利用を決めています。
首都圏の土地は、都市計画法に基づき、13種類に分けて使用目的が指定され、区域内に建てられる建物の種類と建築規制があります。
さらに住居系は、第1種/第2種低層住居地域、1種/第2種中高層住居地域第、1種/第2種住居地域、準住居地域に分かれます。
用途地域の建築基準
第1種低層住居地域では、12m以下などの高さ制限がありますが、第2種中高層住居地域では、中高層マンションやオフィスビルも建設可能です。
第1種住居地域では、高さ制限がなく容積率が緩和されるため、第2種中高層住宅地域よりも高いマンションの建設が認められます。
第2種住居地域では、パチンコやカラオケ店の営業も認められ、準住居地域では、小規模な工場、自動車修理工場も認められます。
建ぺい率と容積率の詳細規定
建ぺい率・容積率は、都市計画によって定められており、建物の形や立地条件、特定の防火地域や角地の場合は、規制の緩和もあります。
建ぺい率は軒やバルコニー、容積率では地階や車庫などの規定緩和もあるため、確認してみましょう。
「建ぺい率50%、容積率100%」の低層住宅地では、ゆったりとした庭のある2階建て住宅が立ち並ぶことになります。
高級住宅地では、「建ぺい率30%、容積率60%」などの規定もあります。
「建ぺい率80%、容積率800%」ならば、20%の敷地を残して、10階建てのマンションも建設可能です。
接道義務とセットバック
接道義務とは、建物の敷地が2メートル以上(または3メートル)道路に面していなければならないという建築基準法の規定です。昔に区画整理された土地では「袋地」などがあり、前面道路との接点が2mに満たない場合は、再建築できないので注意が必要です。
「セットバック」とは、敷地の境界線を、道路の中心線から2 mの位置まで後退させて、建物を建てることです。
現在の建築基準法では、道路幅を4m確保することが求められており、昔の細い道路に面している場合は、中心線から後退させて家を建てる必要があります。
土地の形状や高低差
三角形の土地では家の形が制限されるので、将来的に売却しにくいことが考えられます。
道路と敷地に高低差がある、道より低い位置にある家は、道路から家の中が見られてしまうことや、大雨の時に道路の水が流れてくる危険があります。
高低差でできる擁壁に、不備がある場合は、土地を購入した後に、擁壁のやり直しをしなければ家が建てられないケースもあります。
地盤の確認
河川の近くは水害の被害に遭いやすく、地盤が不安定な地域もあります。
以前は川や沼だったところを、宅地開発した場合は、地盤が軟弱なことも考えられます。
山の斜面近くの土地では、地崩れや鉄砲水の被害を受けやすいと言えます。
土地探し、土地を購入する際は、以前の土地がどうだったか、過去に被害がでていないか、ハザードマップに指定されていないか、なども調べましょう。
最後に
土地探しは、自分の目で実際にたくさんの土地を見て、土地をみる目を肥やすことが大切です。
理想の家を建てても、土地の購入や整備に費用がかかりすぎて予算オーバーとなり、ローンの返済ができなくなれば家や土地を手放さなければなりません。
また、せっかく購入した土地に建築規制があり、思った建物が建てられないこともあります。
そうならないためにも、予算の範囲内で、理想の家が建てられる土地を見つけることが大切です。
土地探しのポイントは、自分の目で見て土地を選ぶことと同時に、経験のある専門家の意見を参考にすることが重要です。