2020
02.05

太陽光発電で蓄電池を設置するメリットとデメリット

家のいろいろ豆知識

太陽光発電でソーラーパネルを設置するだけでは、昼間の日照時間しか発電した電気が使えません。

共働きや学校に通う子供のいる家庭では、家族が電気を使用するのは、主に夜になります。

夜間に昼間に発電した電気を使いたい場合は、蓄電池の設置が必要となります。

太陽光発電の費用だけでなく、蓄電機器の導入費も考慮していかなければ、発電していない時間帯は結局、電力会社の電気に頼ることになります。

さらに、災害時の停電に備えて電力を確保したい、また、日頃の電気使用量を効率化し、売電収入をあげたい場合は、蓄電池機能は必須となります。

今回は、太陽光発電の蓄電池とは何か、その普及の背景や、メリット・デメリットについて説明します。

蓄電池とは

太陽光発電の家庭用蓄電池は、日中にソーラーパネルで作った電気を溜める装置で、機種によって電気を貯められる蓄電容量が異なります。

サイクル寿命

家庭用蓄電池は、現在リチウム電池が主流で、耐用年数が6〜10年と比較的長く、サイクル寿命は3,500回ほどです。

蓄電池にはこの他にも、ニッケル水電池、鉛蓄電池、NAS電池などあり、価格・耐用年数・充放電可能なサイクル回数が異なります。

イオン酸化還元反応を利用するレドックスフロー電池などの、次世代電池も出現し、蓄電池は近年最も盛んに研究開発が行われている分野です。

今後の開発により性能がアップし、価格も下がることが期待されています。

蓄電池の種類や相場

蓄電池には、屋外の大型タイプや小型のポータブル式やなど、大小様々なサイズがあり、使える電気量や耐用年数、価格が異なります。

しかし、どの蓄電池でも、メーカー掲載の寿命を実現するには、「放電開始時間」や「モード設定」を適切に設定・管理することが必要です。

現時点では、シャープ・東芝・NEC・パナソニック・オムロンなどの主要メーカーから、容量4.2〜7.8kWhで、約80〜160万円で販売されています。

「残量」を確認しながら、今使える電気量を意識して家電を使うことで、家族の節電意識や環境保全への関心を高めることができます。

蓄電池の普及の背景

蓄電池の設置件数は年々増え続けており、2018年では24万台を超え、ソーラーパネルの設置と一緒に購入する人も増えています。

蓄電池のメリットを考えるうえで、「2019年問題」と呼ばれている「固定買取制度」についてまず理解する必要があります。

固定買取制度(FIT)とは

FITとはFeed-in Tariffの略で、Feed inは「入れ込む」、Tariffは「関税,料金表」を意味し、正式には「全量固定価格買取制度」と呼ばれています。

FITは、政府が再生可能エネルギーを導入した家に対して、そのコストを「入れ込んだ料金体系」で、電力会社が電力を買い取るよう定めた制度です。

地球温暖化対策や持続可能なエネルギー確保の取り組みとして、政府主導で始められ、2020年2月現在固定価格で電気を買い取る期間は10年と定められています。

FITで太陽光発電を設置した約53万件の家庭が、2019年の11月に初めて、10年間の「固定買取制度(FIT)」の終了時期を迎えます。

期間終了に伴い、これらの家庭では、過去10年間と同じ価格で電気を買い取ってもらえなくなるのが、「2019年問題」と呼ばれているものです。

蓄電と買電価格の関係

期間終了で売電価格が下がるため、自家発電した電気を売るのではなく、夜間に自宅で消費する方が得になります。

買電価格は電力会社によって異なりますが、関西電力ならばFIT終了で、電気単価48円/kWhが8円に、九州電力では48円が7円に下がります。

売電による収益が激減し、日中に発電した電気を安い価格で売ることになり、夜は夜で電力会社から電気を買わなければなりません。

電力会社から買う夜間の電気単価は25~32円であるため、蓄電池の設置に費用がかかっても、7〜8円で売電するよりメリットが感じられます。

蓄電池を設置して、夜間に電気を買わないで、日中にソーラーパネルで発電した電力を活用して光熱費の削減につなげることができます。

蓄電池補助金制度の復活

2019年に、政府の蓄電池補助金制度が4年ぶりに復活し、現在、各メーカーも製品の開発・改良に力を入れています。

補助金は地域によって異なり不透明感もありますが、2019年問題を受けて、政府の太陽光発電をサポートする今後の方針に注目が集まっています。

また、近年、日本の蓄電池に関する研究が進み、安全でコンパクトな耐用年数の長い家庭用蓄電池が、より安く製造できるようになってきました。

さらに、ソーラーパネルの普及に伴い、最近の災害時での評価もあり、費用をかけても蓄電池の設置に前向きな意見が見られます。

10年の期間を過ぎると再度、電力会社と買電契約の手続きをする必要がありますが、それを機会に補助金制度を利用して購入する家庭が増えています。

太陽光発電の蓄電池のメリット

固定買取制度(FIT)の期間終了後の、蓄電池による自家消費のメリットについて説明してきましたが、その他にどのようなメリットがあるのでしょうか。

蓄電池を設置して、日中に発電した電気を効率的に利用する方法や、エネルギー消費に関する社会的なメリットについても見ていきましょう。

太陽光発電の余剰電力を蓄えるメリット

蓄電池の最大のメリットは、日中の太陽光発電で作った電気の余剰分を溜めて、発電しなくなった夜間でも利用できることです。

太陽光発電のシステムだけでは、太陽の日射時間以外では電力が使えず、発電量も天候に左右されるため、電力供給は不安定な状態です。

7.2kWhの蓄電池を3時間ほどかけてフル充電すると、電気や冷蔵庫、テレビなどの家電を、12時間継続して使える電力を溜めることができます。

日中の1kWhあたり電気代が32円とすると、電気代よりも買取価格が安くなれば、売電するよりも蓄電して夜間に使う方が賢いと言えます。

災害時・停電時に夜間も電気が利用できるメリット

蓄電池があれば停電時にも電力が使えるため、赤ちゃんがいる家庭、医療機器を使っている人、在宅勤務の仕事をしている人には心強い停電対策です。

蓄電池の設定の際に緊急時の配電設定をしておくと、停電した時は自動的に蓄電池に切り替えられて、電気が流れるようになっています。

近年多発している、大型台風や地震の被災の経験から、蓄電池を設置する家庭が増えてきています。

大規模な災害時の停電では、インフラ復旧にかなりの時間がかかるため、リスク管理の面でも、蓄電池のメリットは大きいと言えるでしょう。

深夜電力の充電で電気代がさらに削減できるメリット

電気代は、1日の中で変動する消費量に左右され、深夜の時間帯は消費が少ないために電気代が最も安くなります。

そのため、蓄電池を設置すると、一般に、電力会社の料金プランを「深夜が安い料金プラン」に切り替えます。

深夜の安い時間帯に、電力会社の電力を蓄電し、太陽光発電でまかなえない時の電力に利用することでメリットがうまれます。

ソーラーパネルがまだ稼働していない早朝や日没後に、その時の高い価格で電気を買うよりは、深夜に充電した安い電力を使う方が得です。

また、日中も深夜に充電した安い電力を使うことで、発電の余剰電力を増やして、買取価格の高い日中に売電するメリットもあります。

電気自動車の充電でガソリン代を削減するメリット

「トライブリッド蓄電システム」とは、太陽電池モジュール、家庭用蓄電池、電気自動車内臓蓄電池の、3種類の電池を連携させたシステムです。

日中にソーラーパネルで太陽光発電し、家庭用蓄電池で電気を溜め、車を使用していない夜間に電気自動車の内臓蓄電池に充電します。

蓄電池があれば、昼に車を利用していても、夜間に電気自動車に充電できるため、ハイブリッド車のガソリン代を減らすことができます。

また、電気利用率を上げることで、ガソリンよりも環境に優しい、エコなエネルギー消費に貢献することになります。

◇ピークシフトで環境に貢献できるメリット

電力需要が増えてピークになるのは、午前8時から午後8時までの時間帯で、火力発電は二酸化炭素を排出して、環境破壊につながります。

電力使用がピークになるこれらの時間帯を避けて、電力消費の少ない深夜の電気を利用することを、「ピークシフト」と呼びます。

電気は時間帯によって価格が異なり、夜間に電気使用をシフトさせるために、電力会社は夜間の価格設定を低くしています。

蓄電池を利用すると、電気代が安い深夜プランで電気を蓄電池に充電できるため、ピーク時の全体の電力消費を減らすことができます。

各家庭から見れば少ない量ですが、蓄電池が普及すれば、電力需要のピーク時の発電量を大きく減らし、環境保全に貢献することになります。

蓄電池のデメリット

蓄電池の設置に関して業者に相談する場合、メリットを中心に話を聞くことになりますが、現実面ではデメリットもあります。

メリットとデメリットの両方をしっかりと理解した上で、蓄電池の賢い利用の仕方を考えていきましょう。

初期投資費用が高いデメリット

太陽光発電の家庭用蓄電池は、導入のための初期投資に費用がかかり、長期的に見て、投資した費用が回収できるか不安になります。

蓄電池の費用は、6~8kWhの一般家庭用蓄電池で、100万円前後が相場と言われています。

そのため、費用対効果を考えるとメリットが少ないという見方をする人も多く、トータルに利益を出すには賢い利用方法を考える必要があります。

近年では、パワーコンディショナーと一体型の蓄電池もあり、パワコンの買い替え時に蓄電池の導入を行う人も増えています。

蓄電池の「サイクル寿命」のデメリット

蓄電池は、充放電を繰り返すと性能が劣化してゆく性質があり、徐々に蓄電容量が減っていく消耗品です。

家庭用蓄電池として利用されているリチウムイオン電池にも、充放電回数の寿命があり、使用していると徐々に蓄電できる量が減っていきます。

これを蓄電池の「サイクル寿命」と呼び、メーカーや製品により、充放電サイクル数や保証期間が異なります。

機種によって品質にかなりの差があるため、購入する際には価格だけでなく、製品説明をよく聞いて最適なものを選ぶことが大切です。

設置場所に困るデメリット

蓄電池は、設置場所で屋内タイプと屋外タイプに分かれ、いずれにせよ設置スペースが必要です。

屋外の大型タイプは風雨にさらされますが、耐用年数の長い製品もあり、屋内タイプは設置ペースをとらないコンパクトな商品も発売されています。

東芝の屋外タイプやオムロンの屋内用など、メーカーにより特徴があり、目的や設置場所に合わせて機種を選ぶことが大切です。

パワコンと一体化したものはスペースもとらず、また、近年性能がアップしてきているため、買い替えで売電量が増える経済効果も期待できます。

まとめ

太陽光発電のシステムに蓄電池の設備を加えることで、FIT終了後も、日中に作った電気を夜間に利用し、太陽光発電のメリットを生かすことができます。

夜間の安い電力を蓄電して、発電できない時間帯に利用するほか、余剰電力を、日中の買取価格の高い時間帯に売電するメリットがあります。

しかし、蓄電池の設置費用が高く、蓄電池には「サイクル寿命」があり、充放電を繰り返しているうちに劣化して、蓄電できる容量が減っていきます。

太陽光発電は、投資した費用を回収するまでの期間が長く、蓄電池の寿命で新たな投資が必要になり、デメリットを強調する人もいます。

しかし、長い目で見れば、蓄電池の性能が向上し価格が下がること、政府による新たな助成金制度ができることが予想されます。

このまま火力発電に頼る電力消費を続ければ、脱原発を実現するのは難しいのが現状です。

蓄電池を設置して、太陽光発電で作った電力を効率的に利用することで、新しい電気との暮らしが生まれるメリットに注目が集まっています。