空き家の活用方法とは?メリットとデメリット、空き家活用事例を紹介

2020年現在、日本全体の人口減少による空き家件数は年々増加し続け、この20年で1.5倍となり過去最高を更新しています。

今回は全国各地で増え続ける空き家への対策や、居住またはその他の使用がされていない住宅がどのように活用できるのかご紹介していきます。

空き家の現状と問題

平成27年、老朽化した住宅が近隣住民及び周辺環境に与える影響に対処するため施行されたのが「空家対策特別措置法」です。居住や使用の確認できない住宅を放置しておくと、倒壊や崩落の恐れ、または害虫や悪臭の発生など様々なリスクを伴います。この「空家対策特別措置法」の施行により、管轄の市町村は固定資産税に関する個人情報の調査やなどが可能となり、「空家認定」を行うこととなります。

「空家等対策特別措置法」において、「放置しておくと安全上または衛生上の問題が生じる状態、またはその地域の景観や生活環境保全を保たれていない状態にあると認められる空家など」の物件に対しては「特定空家」と指定し、必要に応じて処分・解体の処置を取ることも可能になりました。

しかし、特定空家と指定されると固定資産税の優遇対象外となってしまう場合があるため、できるだけ空家を別の形で活用できないか検討するオーナーが増加傾向にあるということです。

空き家の活用事例とは メリット・デメリットなど

それでは、空室である住宅にはどのような活用法があるのでしょうか。それぞれのメリット・デメリットも合わせて事例ごとに紹介して参ります。

空き家を賃貸物件として活用する

空き家が住宅物件である場合は居住用として貸し出すのが一般的でしょう。メリットとしては、住居人がいる限りは家賃収入として利益を得ることができます。デメリットは、必要に応じて賃貸物件として出す前にリノベーションやリフォーム代金が発生すること、住居人が見つからないと空き家のままになってしまうことなどがあります。

長野市 空き家 – レントライフの空き家サイト(レントライフ / 空き家有効活用)

空き家を売却する際は

空き家で今後使用の目途が全くない場合は売却する選択肢が思い浮かぶでしょう。

空き家を違う形で使うためにはどのように活用するかアイディアを出す必要があり、その利用法によってはリフォーム代などに費用が掛かります。売却すると決めることで活用法を悩む必要がなくなり、まとまった資金を得ることができる大きなメリットがあります。

しかし、空き家の売却先が決まるまではまでは固定資産税を支払わなければなりません。最近では、空き家専門の買取サービス業者が存在するため、個人で行うよりスムーズに売却ができる可能性があります。

空き家を解体してトランクルームや駐車場に

空き家の建物自体を解体し更地にして、土地として利用する方法です。解体後、更地をコインパーキングやトランクルームなどとして活用する際は、利用料の利益が得られるのと住宅ほどのメンテナンスコストなどが掛からないメリットがあります。

しかし、解体工事費が掛かるのと、場所によっては固定資産税が高くなるという金銭的に大きいデメリットが予想されます。

また、空き地を駐車場として活用する場合は一定の条件を満たしていること、市町村への届け出が必要となります。

解体補助金制度

空き家の解体工事費は家の木造か鉄骨造かなど、その建物の構造によって金額が変わってきます。昭和56年以前の旧耐震法で建てられた建築物は耐震性の問題から積極的に解体を推進される可能性が高いです。

納税の滞納がない事や空き家になってからの年数などいくつかの受給条件をクリアすれば、解体費用の半分から3分の2程度の補助金受給が可能となります。ただし、補助金制度は市町村や各自治体によって受給資格や金額など内容が異なるので申請の際には注意が必要です。

民泊で利用する

近年の外国人観光客によるインバウンド効果や、東京オリンピック・パラリンピック開催などで、首都圏では空き家を民泊などの宿泊施設として利用する動きが広まっているのは周知のとおりだと思います。

ホテルや旅館、ベッドハウス、カプセルホテルなどの簡易宿所として活用する場合、「旅館業法」に基づいた営業が必要になります。特にホテルに関しては、建築業法、および消防法などの法的規制が厳しいため注意が必要です。この「旅館業法」は昭和23年に施行されたものであり、時代の流れと共に幾度か改正が行われてきました。

しかし、施行当時は存在しなかったインターネットなどによる新しいビジネスモデルの出現において、現行の旅館業法では対応しきれなくなってきたため、2018年に「民泊新法(住宅宿泊事業法)」があらたに施行されました。

民泊として活用する場合はこの事業法により「既存の住宅を一日単位で利用者に貸し出し、年間180日を超えない範囲での継続的な営業」という規定が設けられます。個人が空き家を宿泊施設として提供するのは比較的簡単であるため、時代のニーズに合ったおすすめの活用法と言えるでしょう。

公営住宅として活用する

政府が2017年に「住宅セーフティネット法」を改正し、これにより全国の空き家を「公営住宅」として活用することができるようになりました。

空き家を「登録住宅(住宅セーフティネット法第8条における住宅)」として申請し、承認を得られると公営住宅として活用することができます。

この住宅を「住宅確保要配慮者専用住宅」とすることで、各自治体からリフォーム金の補助や家賃補助などの支援を受けられることになります。この「住宅確保要配慮者専用住宅」は高齢者や低所得者に対して提供される物件であるため、原則として、一般的な収入を得ている配慮が必要とされない入居者は受け入れることができない点は注意が必要です。

空き家を改築してカフェ経営

空き家は綺麗で新しい建物だけが魅力的なのではなく、近年では「古民家カフェ」と称した古さの中にもどこか懐かしさや落ち着きを感じられる空間も大変人気があるため、耐震性に問題がなければ築年数が経過した空き家物件にも需要があります。

内装・外観のセンス、オリジナリティーなどが問われますが、その立地でのニーズを調査し、メニューや料金を設定するなど大変自由度が高い空き家活用法と言えます。

カフェ開業の際には、調理師、製菓衛生士、栄養士、食品衛生責任者のいずれかの資格取得が必要となります。

最後に

今回は全国各地で増加傾向にある空き家の活用法についてご紹介して参りました。

まだ利用価値のある建築物を放置せずに積極的に活用する動きが広まり、活用法によってはコミュニティースペースなどに使用されることで地域活性化の役割も担っているため、成功例を全国の空き家で応用できればよいですね。