軽量鉄骨と重量鉄骨の違い、それぞれの法定耐用年数などを紹介

建築物を大まかに分類すると、鉄骨造の建築物には使用する鋼材の厚さによって軽量鉄骨と重量鉄骨の2種類があります。

物件の価格や建物の強度などそれぞれに特徴があります。今回は軽量鉄骨と重量鉄骨の違い、それぞれの法定的な耐用年数についてご紹介していきます。

軽量鉄骨と重量鉄骨の主な違い

軽量鉄骨と重量鉄骨の主な違いですが、一番大きな違いとしては、鋼材の太さ=部材断面の大きさです。

軽量鉄骨は厚さ4㎜以下の鋼材を使用するため部材断面が小さく、厚さ4mm以上の鋼材を使用する重量鉄骨は部材断面が大きいということです。

建物の耐震性は断面性能が大きいほうが高いので、比較をすると重量鉄骨の方が地震などには耐震繊維優れているということになります。しかし、現在の建築法のもとで、きちんと構造計算されている建物であれば、軽量・重量鉄骨造ともに安全性は確立されています

軽量鉄骨造は比較的小規模の建物に採用され、戸建て住宅やアパート、小規模の店舗の建築に採用されます。また、階数としても2~3階建ての低層建物が中心となります。

一方、重量鉄骨造では強度を必要とする大規模なマンションや商業施設、工場などが建設可能です

軽量鉄骨では、強度を補うための筋交いを用いずに建築する「ラーメン構造」が可能です。軽量鉄骨造は合接部分がボルトでの接続になります。店舗建設の際に、大きめの開口部を設置する際は重量鉄骨が必要となります。また、重量鉄骨造においては溶接技術が必要となります。

軽量鉄骨は構造上に制限があり、重量鉄骨は強度がある分コスト面では高くなるでしょう。基本的なフレームや骨組みを重量鉄骨造で、その他の部分では軽量鉄骨造を適用するなどしてそれぞれの鋼材を併用すると2つのメリットを掛け合わせることができます。

軽量鉄骨のメリットとは?

軽量鉄骨はその名の通り材質が軽量であり、建築工期を短期間で仕上げることが可能であるため、製造上・建築作業上の両方でコストを低く抑えることができます。これは、賃貸物件である場合は家賃の安さとしても反映される大きなポイントです。

メインとなる部分を工場にて事前生産を行い、現場に運び設置・組み立てが行われるプレハブ工法が軽量鉄骨造の一般的な建築方法です。大手ハウスメーカーが手掛ける注文住宅や賃貸アパートは、このプレハブ手法を用いて建築されているのが主流です。近年では住宅建築の技術が向上・改善し、軽量鉄骨の物件でも3階~4階建ての建築が可能になってきました。

RC構造の建築物と比較すると、軽量鉄骨は建物価格が安価であるため、多額の借入をすることなく購入できるのが大きなメリットです。その結果、固定資産税も安く抑えることができるということです。

物件コストを安く抑えられるのはもちろん、減価償却費を多く計上することができるという利点があります。減価償却費とは、企業が長期間で利用する目的で購入した物件の場合、数年から数十年の耐用年数に渡り、少しずつ経費として配分する会計上の仕組みで、節税対策に有効とされています。

重量鉄骨のメリットとは

軽量鉄骨の建築技術は向上しているものの、重量鉄骨と比較すると鋼材に厚みが薄い為強度に欠ける面があり、耐久年数が短くなる傾向にあります。

その点、重量鉄骨は強度の点においては柱や梁も太く強度があり、少ない本数で骨組みを作ることが可能となるため丈夫で安定感があります。遮音性に関しても壁や床に厚みがある分、遮音性にも優れプライバシーを守ることに長けていると言えるでしょう。

土地と建物とをそれぞれ現在の価値で評価し、2つを合わせた評価額である積算評価においては軽量鉄骨より銀行融資が通りやすいというメリットがあります。

軽量鉄骨と重量鉄骨の法定耐用年数の違い

建築物には法的な耐久性を表す法定耐用年数というものがあります。国で決められていて軽量鉄骨や重量鉄骨でも違います。

軽量鉄骨でも法定耐用年数が2種類ある

軽量鉄骨造の場合、法定耐用年数は19年と27年の2種類があります。

重量鉄骨のものと合わせて、事業用住宅建築物(アパート経営や賃貸マンションなどにおける不動産投資の賃貸物件)の耐用年数は鉄骨の厚みによって次のように分類されます。

骨格材の厚さ4mm以上(重量鉄骨)  34年
骨格材の厚さ4mm以下(軽量鉄骨)  27年
骨格材の厚さ3mm以下(軽量鉄骨)  19年

(※重量鉄骨の規定を6mm以上とする説もあり)

骨格材の厚さによって違いますので注意しましょう

不動産投資でも「法定耐用年数」は重要

不動産投資に際して、「耐用年数」は重要なキーワードとなります。

“耐用年数とは、減価償却資産が利用に耐える年数をいう。長期にわたり反復使用に耐える経済的に価値があるものの使用又は所有の価値の減価を、各年度に費用配分していく場合の、計算の基礎となる。”

参考元:Wikipedia(耐用年数)

銀行のローンを利用する時に、耐用年数以内での借入期間に制限が設定されるためです。減価償却費による節税対策として重要なポイントとなります。

法定耐用年数と実際の使用可能年数は異なる

法定耐用年数と実際の使用可能年数は異なります。耐用年数が過ぎたら住むことができなくなり、すぐに取り壊さなければならないということではありません。大手ハウスメーカーでは軽量鉄骨の建物でも、定期点検や保証は、メーカーによって10年から30年と長きに渡り対応してくれるので、修繕とメンテナンスを行いながら建築物の寿命を延ばすことが可能です。

大手ハウスメーカーのアフターサービス例

例えば、大手メーカー2社では鉄骨dくりの建物で保証・アフターサービスを以下のような内容で行っています。

積水ハウスの例

積水ハウスでは、住宅の引き渡し時より20年保証があり、3か月・1年・2年・5年・10年・15年のタイミングで無料点検を行ってくれる安心のサービスを提供しています。

無料点検期間を過ぎても、引き渡し後20年以降から60年までの間は10年ごとに有料にて点検を実施し、問題が見つかれば修繕を行ってもらうことが可能です。

大和ハウスの例

大和ハウスの建築物では「AQASSET」と呼ばれる長期保証・アフターサポートサービスが提供され、最長50年の長期保証期間が設けられています。定期的な点検の他、有料メンテナンスも実施しており安心した暮らしを実現するためのサポートが充実しているメーカーです。

最後に

今回は軽量鉄骨と重量鉄骨、それぞれの耐久性を表す法定耐用年数についてご紹介して参りました。

建築コストや不動産投資としての観点から、それぞれにメリット・デメリットがありますので目的に合わせて選択しましょう。