古民家カフェの開店で後悔しないために!知っておきたい古民家のリフォーム、リノベーションの注意点やポイントを紹介

新築の家にはない趣ある雰囲気が魅力の古民家。こうした空間を活かした古民家カフェも近年注目を集めています。古民家とはどういう建物かや古民家カフェを開くときに知っておきたい注意点とポイントについてまとめました。

カフェ開業のために古民家物件を探している方や将来的にカフェを開きたいと考えている方はぜひ参考にしてください。

古民家とは?

築50年以上で伝統的な木造軸組工法で建てられた民家のことを一般的に古民家と呼びます。

古民家の間取りには土間や太い柱・梁のほか、茅葺屋根・草ぶき屋根といった特徴があり、現代の住宅とは間取りも大きく異なります。

釘などを使わずに建てられている古民家は耐久性に優れ、当時の雰囲気を現代に残しています。近年ではその良さが再認識され、古民家の保存や活用などの取り組みが盛んに行われるようになりました。

古民家カフェの魅力とは?

あえて古民家をリノベーションしてカフェを開く魅力はどんなところにあるのでしょうか。古民家カフェの魅力についてまとめました。

古民家にしか出せない雰囲気

古民家でよくみられる太い柱や梁は天然木で作られています。天然木を用いた大きな梁や柱は新築で再現しようすると、多くの費用を必要とします。また実際に使われていた月日が、空間に深みを与えてくれるでしょう。

大正時代や戦前に建てられたものも多く、年代物の梁や柱などは時を超えたような空間を演出してくれます。古民家をリノベーションし、新たなデザインを取り入れることで唯一無二の空間が作れるのです。

古民家が持つレトロ感や非日常感はカフェの大きな魅力となります。温かみのあるどこか懐かしい雰囲気がある古民家は、人々が安らぐ空間を作るのに相応しい物件といえるでしょう。

自然と調和する建築様式

伝統的な木造軸組工法は釘を使わないだけでなく、木材をはじめ土や藁といった天然素材のみで建てられていることがほとんどです。

古民家の骨組みを最大限利用しリノベーションで使う素材も無垢材や漆喰といった自然素材で統一すれば、化学物質が原因で起こるシックハウス症候群などの心配を最小限に抑えることができるでしょう。古民家なら環境にも体にも優しいカフェを実現できるでしょう。

耐久性が良い

古民家では多くの木材が使用されています。強度の高い松を梁に使ったり、木目が美しい杉を内装に使ったりと木の特性に合わせて家が作られています。また、梁や大黒柱などには太い木材を使用するなどの工夫もされています。こうした木材は月日を重ねるごとに強度が増すとされています。そのため、適切なメンテナンスさえすれば建物の寿命が数百年となることも。

現代の家は長くても50年程度が寿命とされています。長く使うほどにその強度や風合いが深まり、時間の経過が楽しめるのは古民家カフェならではでしょう。

物件購入費や固定資産税を抑えられる

多くの古民家は、土地・建物が割安な価格で販売されています。カフェ開業のために店舗を新築したり、中古のテナントを購入したりするよりも、物件購入費を抑えられる可能性が高いでしょう。

また、固定資産税は土地と建物にかかります。土地の税額は同じ場所であれば、新築でも古民家でも変わりませんが、古民家なら建物の税額を抑えられます。建物の税額を決める要素のひとつに「築年数」があります。

古民家の多くは築100年近いので、同じ広さ、同程度のグレードの建材で建てられた新築の物件と比較すると固定資産税の評価額が下がります。同じ面積であればリノベーションをしてもその評価額は大きく変わることはないでしょう。古民家カフェであれば初期費用や固定資産税を抑えることが可能です。

古民家カフェを開くときのポイントや注意点

古民家カフェを開くときは、どんなことに注意すればよいのでしょうか。「古民家カフェをやるんじゃなかった」「こんなはずじゃなかった」と後悔しないよう、ポイントをしっかりとおさえておきましょう。

自分にぴったりの古民家を見つけるには「コンセプト」と「周辺事情」が大切

古民家カフェを長く続けていくにはコンセプトを明確にすることが不可欠です。どんなカフェにするのか、誰に向けたカフェにするのかといったことが定まっていないと、カフェ経営を軌道に乗せるのは困難です。

例えば、若い女性客に向けたカフェであれば都市部に近い場所、観光客に向けたカフェであれば観光スポットからアクセスの良い場所といったようにコンセプトが異なれば、選ぶべき立地は大きく異なります。また、周辺の事情を知っておくことも大切です。周りにはどんな施設があるか、交通量はどうかといったことを、事前に物件の周辺の様子を見に行き確認しておきましょう。

どこで誰に向けたどんな古民家カフェを開くか、自分の思い描くカフェが実現できそうな場所かをしっかりと見極めることが大切です。

物件の状態をよく確認する

一言で「古民家」といっても、保存状態はさまざまです。価格だけでなく、雨漏りや腐食、シロアリやカビなどの被害はないか、といった保存状態を必ず確認しましょう。安く手に入れられたとしても、状態が悪いと修繕費が多くかかってしまい、開業のコストが割高になってしまうことがあります。

古民家カフェは冷える?断熱性や気密性の確保は重要

伝統的な日本家屋は夏に快適に過ごせるように作られていることがほとんどです。そのため、断熱性や気密性が低く冷暖房の効きが悪いことも考えられます。どうすれば古民家で夏や冬に快適に過ごせるのかを念頭に置いてリノベーションのプランを作ることが大切です。

耐震性の確保

築年数が長い古民家は、現代の耐震基準を満たしていない可能性があります。現代では建材の強さで地震から家を守っていますが、古民家は造りのしなやかさで地震を受け流しているため、そもそも耐震性への考え方が異なります。古民家の良さを残しつつ安全性を確保するために、リノベーションをする際は現代の建築法だけでなく古民家の建築にも詳しい専門家に見てもらい、適切な耐震性が担保できるようにしましょう。

ユニバーサルデザインへの配慮

古民家は段差があったり、天井が低かったりとユニバーサルデザインとは言い難い箇所もあります。例えば、トイレはそのままでは使えないため、洋式トイレを導入するなど大幅な改修が必要でしょう。また、土間や玄関など段差が多いのも特徴です。必要に応じてスロープを付けるなどの工夫をしましょう。

オープンまでに時間と費用がかかることも

一般的な物件とくらべると、自分が気に入るものや条件に合うものを古民家を探すのが難しいだけでなく、リノベーションにも時間がかかります。また、工法が異なるだけでなく個人宅だったものをカフェと活用するので、調理場や客席などを作る必要があるためです。古い物件のためリノベーションの途中で新たな問題が見つかることも覚悟しなければなりません。

一般的に自己所有の古民家ではリノベーション費用が500~800万円といわれています。賃貸の場合や途中で問題が見つかることも考えると、余裕をもって1,000万円くらいの費用を準備しておくと安心でしょう。オープンまでにかかる時間と費用は十分な余裕をもって計画を立てましょう。

まとめ

古民家カフェは現代の建物には出せない趣がある空間です。近年では古民家の人気の高まりをうけ、さまざまな古民家を活用した古民家カフェがオープンしています。

コンセプトを明確にして古民家の特徴や魅力を理解すれば、居心地の良い唯一無二に空間をデザインできるでしょう。